「ここは散らかってるから、隣の部屋で・・・」
隣室は、万年床以外何も置いていない三畳間。
寝るだけに使っているので、照明は天井に付いた豆ランプしかなく、非常に暗い。
閉めきった部屋は、早くも、裸の女性空手家の体から発する熱気で充満する。
「すごく興奮するわ・・・さあ、かかってきて・・・」
「でも・・・僕、ボクシンググローブつけてないし・・・」
「私は鍛えてるから大丈夫よ・・・思いっきり殴っていいわ」
「でも・・・・」
「ホラッ!!」
美佳さんは、素足の爪先で、僕の亀頭を下から弾く。
「ウッ!!」
「男なら、モジモジしないで闘いなさい!!チンチンが泣くよ!!」
「ウ、ウオー」
僕は、美佳さんの体に体当たりした。
一見華奢なその体は、全身、筋肉が充実していて、大の男の体当たりにビクともしなかった。
恐怖心で一杯になり、とにかくそのビーナス像のような裸体にしがみ付く。
美佳さんの甘い体臭を嗅いで、恐怖で萎びたペニスがすぐさま力を取り戻し、相手の腿の辺りを突いた。
「フフフ・・・すごく元気じゃない・・・これから何されるかわかってるの・・・?」
美佳さんは僕の体に腕を回し、強く締め付けた。
逞しい腕がギリギリと音を立て、僕の胸は、彼女の弾力を持ちつつ引き締まった胸と腕の間に挟まれ、ゆっくり潰されて行く。
「ア・・アウ・・ウ・・」
僕は息ができず、呻き声をあげるのが精一杯だ。
失神しそうになった瞬間、彼女の膝が僕の左脇腹に突き刺さった。
「グェッ!!」
次の瞬間、右脇腹に、彼女のボクシンググローブがめり込んだ。
倒れこもうとするのを許さず、彼女は左腕で僕の頭を抱え込んで、もう一方のボクシンググローブを僕の腹や鳩尾に突き刺した。
ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!ドスッ!!・・・・・・・・・・・・
鈍い打撃音が執拗に部屋の中に響き渡る。
ちちょっとまって!と叫びたいが、空気が乾燥しているのと緊張感で口がカラカラで、僕の口からは「ぴょ・・・ぴょ・・・」という音が漏れるだけだった。
僕が口をパクパクさせるのを見て、美佳さんは「喉が渇いたのね?」と察した。
「口を開けて、舌を出して」
僕は彼女の言うとおりにする。
美佳さんは、唾液を搾り出して、僕の舌の上に垂らした。
彼女も格闘で口が渇いていたようで、その唾は濃厚で粘ついている。
美佳さんの口の味・・・
少ししょっぱくて、美佳さんの体臭を濃密にしたニオイが僕の口の中に広がる・・・
僕は飲み込むのがもったいなくて、ウットリと目を閉じて、いつまでも彼女の唾液を舌の上で転がしていた。
「いつまでモグモグやってるのよ、バカ!!ペッ!!」
彼女は少し怒って、僕の顔に唾を吐いた。
鼻に付いた美佳さんの唾液は、かなりニオイが強かった。
「クンクンクン・・・はあ~~~~!!」
僕が歓喜の呻きをあげると同時に、「ヘンタイッ!!」
視界が黒いボクシンググローブに遮られ、鼻に猛烈な衝撃を感じ、反射的に涙が溢れ出してきた。
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