・・・・四人の幼女に非業の死を遂げさせた被告人は四度死刑に処さなくては気が済まない、という、遺族の感情は深く理解できるものの、被告は犯行当時心神耗弱状態であったという事実は無視することはできない、よって・・・・・(最高裁判決より)
現代人はアメンボのように、ただ日々の生活の表面をツルツル滑っているだけだ。
何でもかんでもすぐに忘れてしまう。
二ヶ月前に発生した最高裁判事惨殺事件でさえ、発生直後は毎日、新聞やテレビニュースで大きく取り上げられていたが、今や事件のことを口にする者は殆どいない。
もちろん、遺族は悲しみの淵に沈んだままだし、警察による捜査は二百人体制で続けられていた。判事は空手の有段者で、身長185センチ体重100キロの巨漢だ。そんな男を、なんら凶器を使わず素手で殴り殺した犯人!警察は、判事以上の巨体を持った、格闘技の心得がある男たちを片端から取り調べていた。
判事は他人に恨まれるような人間ではなかった。しかし、彼の下した判決に不満を抱く者は少なくない。例えば、殺される一ヶ月前に、連続幼女誘拐殺人事件の犯人・日向勉(三十三歳)に無罪判決を下したことに対する世論の反発は凄まじいものだった。ところがマスコミという名の銀バエが次のニュースの方へと飛び去ると、もう、世間の人々は日向のことなど忘れてしまった。
日向は、東京都下の人里離れた山林の中に建つ、両親所有の古ぼけた屋敷に暮らしている。
両親は日向が捕まった後すぐに身を隠し、現在も日本中を転々としながら、息子に食料を送り続けていた。
彼は、好物のレトルトカレーライスをレンジで温め、貪り食い、トレーを放り投げ、身を横たえた。部屋は、ゴミであふれかえっている。
夜になって目を覚まし、ビデオでアニメを見始めた。半開きの口の端からは涎を垂らし、わけの分からないことをつぶやきながら。
突然、彼の背後のドアが開き、電気が付いた。
「うわー!!きったない部屋!!まさにゴミ屋敷ね!!・・・臭くて息できない!!」
戸口には一人の若い女が立っている。
年齢18歳くらい。美しい黒髪のショートヘアー、引き締まった小さい顔、黒目がちの澄み切った大きな目はハッキリとした二重瞼。鼻は高く口元には品があった。黒いタートルネックのセーターを素肌に直に着、黒いジャケットを襟を立てて羽織っている。胸が大きく突き出ていて、ジャケットのボタンは留めていない。黒いミニスカートからは、艶々した肌に包まれた筋肉質な脚が真っ直ぐ伸びている。素足に履いたエナメルの黒いブーツが鈍く光っている。身長はブーツを履いているため180センチを超えているように見える。身に着けているものの黒さが、彼女の肌の白さを引き立たせている。一見細身で華奢な印象だ。
「あんたが、日向勉さん?」
男はビデオに夢中になっていて、背を向けたままだ。
「あたし、有紀っていって、ある人に頼まれてあんたを殺しにきたんだ」
日向は相変わらず無反応。
「あんたを無罪にした判事さんを殺ったのもあたしなの」
「・・・・・・・・・・」
「で、なるべく苦しめて殺すように頼まれてるんだけど、ナイフで切り刻まれるのと、ロープで絞め殺されるのと、格闘技で殴り殺されるのと、どれがいい?」
ブツブツブツ・・・・・
有紀は、彼の正面に回りこんでその表情を見てため息をついた。
「完全に狂ってるわ・・・・・・」
目の前でナイフをちらつかせても無反応だ。
これでは、「なるべく苦しめて殺して欲しい」という依頼を実行できない。
なんとしても彼に、死にたくないと心から願わせた上でその命を取らなくてはならなかった。
彼女はある事を思いついた。
彼の肩に両手を置いて、背後から耳元に口を近づけて甘くささやいた。
「ねえ、日向さん、一緒にお風呂入ろうか?」
男は無表情のままだが、かすかに頬が赤らんだ。これは驚くべきことである。彼が幼女以外の人間に対して反応を示すことは、まず今までなかったことだ。
有紀は優しく彼の手を取って、立ち上がらせた。二人でよろけながらゴミの山の上を歩く。ネズミが飛び出して走り去る。
「あはははは!ビックリした!!」
有紀が真珠のような歯を見せて、あまりにおかしそうに笑うので、思わず日向も口元をほころばす。
すかさずその口元に、有紀は自分の唇を重ねた。
ひげだらけで、一年近く歯も磨かない不潔な口と、清潔感のある美しい口が一つにつながる。
男の心に、突然温かい血が通い始めた。
風呂場は使われた形跡が無く、埃が積もり、くもの巣が垂れ下がっている。
有紀は浴槽をざっと流してからゴム栓をして、お湯を溜め始めた。最初赤錆が出たが、すぐにきれいな湯が出てきた。
彼女は服を脱いで裸になった。肩や腕の筋肉・腹筋が見事に発達している。ピンク色の小さい乳首をいただいたバストが大きく膨らんでいる。
「!!」
彼のペニスが、今までになかった程硬直する。
有紀は、日向の着ている物を丁寧に脱がせて全裸にした。
全く日光に当たらないため肌は青っぽく、また、風呂に入らないので垢にまみれ異臭を放っている。体には一切筋肉というものが無く、ただ脂肪でブヨブヨと肥満している。あぶらじみた長髪が垂れかかった眼鏡の分厚いレンズは真っ白に汚れている。
有紀は、だらしなくふくらんだソケイ部の下でいきり立っているペニスに目をとめた。
「あーっ!!おっきくなってるー!!」
彼女は彼のペニスを握り、力を込めて包皮をずらそうとしたができなかった。
「・・・・・剥けないのー?こんなチンコだから小さい女の子からしか相手にしてもらえないのね!」
かすかに男の表情がこわばる。
有紀は慌ててその大きなバストを男の胸に押し付ける。
男のペニスは再び膨張した。
有紀は、埃をかぶったボディシャンプーのポンプを押して中身を出し、手のひらで泡立て、彼の体に塗った。そして、自分のバストで相手の体を愛撫した。張りのある滑らかな肌がはち切れそうな重いバストが押し付けられ、彼は、快感と同時に息苦しさも感じるのだった。
「気持ちいい?」
「き・・・気持ちいい・・・」
有紀はさらに体を密着させ、男を抱きしめた。
日向は、彼女の首筋の辺りから漂ってくる甘い体臭に包まれ、夢見心地だった。
有紀は男の口に唇を重ね、ねっとりと舌を絡ませた。
彼は全身がとろけそうだった。
石鹸を洗い流し、湯船に一緒に入って温まってから、寝室に移った。
押入れに入っている布団一式は全く使った形跡が無い。
銀の十字のネックレス以外何も身につけていない有紀が、布団を畳に敷いている。
突然後ろから、日向が抱き着いて来た。
勿論、こんな男を組み敷くことくらい簡単なのだが、彼女は相手のなすがままにさせた。
「やさしく・・・して・・・・」
思わずそんな言葉を漏らした自分に、少し驚いた。
彼女は、男性とセックスするのは初めてだったのだ。
「う・・・うん・・・・」
日向にとっても、幼女以外の女性とのセックスは初めての経験だ。
うぶな二人は、不器用だが、激しく愛し合った。
数時間後、快い疲れの中眠りに付いた日向の精神は、正気に戻りつつあった。
しかし、有紀が何者なのか、何をしに来たのかについて考えることも無く、この幸福が延々続くと信じて眠りについた。
彼は、明日から四日に渡って、四度、有紀に殺される事になろうとは、夢にも思わなかった。
日向が甘い夢から目覚めると、そこは、地下室だった。この部屋に幼女を監禁し、虐め殺し、死体を切り刻んだのだ。自分のした事を覚えてはいるが、今にして思うと、とても現実のこととは信じられない。
「目が覚めた?」
目を上げると、そこに有紀が立っている。
綺麗な顔には、昨日の甘い表情とは打って変わって、厳しく冷たい表情が浮かんでいる。
驚くのは彼女の格好だ。
薄手の黒いタイツを履いている。それは彼女の下半身にフィットしていて、その長い脚の筋肉を浮かび上がらせている。側面には「KICK BOXING」と赤い字で刺繍してある。
上半身は裸だ。すべすべして、みずみずしく、張りのある、白い肌。その肌は昨夜、セックスの最中、ほんのり桜色に染まっていた。たわわに育ったバスト。皺ひとつない長い首筋にかかった銀の十字のネックレス。昨夜は、彼女の美しい鎖骨を舐め回す時にこのネックレスも一緒に唾液で汚したものだった。
そして、両手には、黒いボクシンググローブを着けている。
「日向さん、それを、身に着けてください・・・・・・」
枕元には、コンタクトレンズのケース、ボクシンググローブとマウスピースが置いてある。
「ど・・・どういうこと・・・?」
「あたしはあなたを殺さなくっちゃいけないの・・・・・・」
突然、有紀の澄んだ、大きな瞳から涙が流れた。
日向は息を呑む。
「でも・・・・・・もし、あなたがあたしを倒せば・・・・・・あたし・・・変われるかもしれない・・・・・・」
そう言いながら、そんなことは不可能であると分かっている。キックボクシング・空手・テコンドー・ボクシング・ムエタイ・少林寺拳法といったあらゆる打撃系格闘技を極めた自分を、アニメオタクでロリコンの、運動神経ゼロの男が倒せるはずがない・・・さらに涙があふれてくる。
二人は見つめあった。お互いの魂にひそむ、殺人を教唆する悪魔同士が火花を散らした。
「きみも・・・・・・マウスピースを着けてくれ・・・・・・」
「わかったわ。カバンの上に置いてあるのを、噛ませてください」
「うん・・・・・・」
日向は、マウスピースを手に取った。有紀が口を開ける。虫歯一つ無い、美しい歯がきれいに並んだ、ピンク色の清潔な口腔に、マウスピースを入れる。
薄暗い地下室で、あらためて間近に見る彼女の顔。顔は小さいのに目が大きくて、なんて可愛いのだと感動した。艶やかなショートの黒髪からは、若い女の子特有の甘酸っぱい香りが漂ってくる。
次に彼は、コンタクトレンズのケースを開けて、レンズを取り出した。「ここに、きみの唾を垂らしてくれ」
有紀は、二つのレンズに、糸を引きながら唾液を落とす。
日向はメガネを外して、そのレンズを目に入れる。
彼は、マウスピースを噛み、ボクシンググローブを着けた。
二人が向き合っている。
一方は、ビーナス像のように美しく力強い裸体。もう一方は、現代社会の病理を具現化したような弛緩しきった脂肪の塊。同じ人間とは思えない。
「さあ、打ってきて!あたしを倒しなさい!!」
「う・う・う・うおーっ!!」
男は、力の限りを尽くして彼女の全身を殴った。しかし、全ての打撃を、鍛え抜かれた筋肉にはね返された。そして、一発の反撃も受けていないのに、息が上がって、呼吸するのがやっとであるほど疲労した。
ポス!ポス!
有紀は、千分の一くらいの力で、日向の腹と胸にパンチを入れた。
それでも、ボクシンググローブの半分位が体の中にめり込み、日向は気を失って膝を付く。
ガゴン!!
有紀は思わず、その顎にアッパーカットを喰らわせる。
血塗れのマウスピースが高々と飛び上がり、闇の中に消える。
男は床に伸びて痙攣を始める。
「日向さん!!」
有紀は、失神する彼を抱き起こし、揺すった。
日向は、すこし汗ばんだ胸の谷間に顔を埋め、反射的に勃起する。
「試合・・・続けなきゃ・・・」
彼女は、また涙を流しながら、彼の口を開けさせた。そして、舌で自分のマウスピースを外し、相手の口の中に落とし、自分の口を使って装着させた。
日向は、口の中に大量に入ってきた彼女の唾液を、自分の血と共に夢中で飲み込む。
「有紀!何やってるの!!」
開け放たれた扉の前に、日の光で背後からライトアップされた涼子が立っている。
伊藤涼子二十三才。二年前、有紀が仕置きを行う場に偶然居合わせたことで、自分も処刑に加担し、その後も彼女と付き合っている。お互いに、お互いのことを全て承知している唯一の人間だ。
有紀は、唾液の糸で日向とつながったまま、潤んだ目で涼子を見上げる。
一瞬にして、涼子は全てを理解した。
男性経験豊富な自分と違い、十代で仕置き人となった有紀にとって、この男は初めての相手だったのだ。有紀ほどの美貌があれば、正常な、素晴らしい男性との楽しい恋愛もできた筈だと思うと、哀れでならなかった。
しかし、男からの肉体的精神的暴力に泣かされてきた涼子には、あれだけのことをした日向に対し、有紀がましてや恋心を抱くなどということを許すわけにいかなかった。
「目を覚まさせてあげるわ!来なさい!」
涼子は、有紀を引きずり起こす。
失神した男を床に転がしたまま、隣の部屋に引っ張って行った。
有紀は全裸のまま荒縄で縛られ、冷たい床に正座させられる。いつも相手を痛めつけることを生業にしている有紀にとって、初めての経験だ。
また、マゾの性癖を持つ涼子にとって、仕事以外で相手をいたぶるのは初めてのことである。しかし、いつも憬れの眼差しで仰ぎ見ていた、体力的に全く敵わない有紀を、これから陵辱するのだと思うと、怪しい興奮で胸がはち切れそうになる。
有紀の前に仁王立ちし、はるか上から見下ろす。
涼子はボーイッシュな有紀とは対照的に、美しい黒髪を腰まで伸ばしている。身長は178センチ。有紀に比べると、少し華奢な体をしている。本職はファッションモデルであり、格闘スナイパーとしてはアマチュアなのだから当然である。
涼子は黒いパンティの上に黒いパンストをはき、その他のものは何も身に付けていない。
「私、一昨日グラビアの撮影があって、それからここへ直行してきたから、シャワーも浴びていないし、歯も磨いていないの。口の中が気持ち悪いのよねぇ。あなたの舌で清めて欲しいの・・・」
涼子はしゃがみこんで、有紀の顔の直前で大きく口を開けた。形のいい口の中に並んだ真っ白い歯に、うっすらと歯垢が付いている。
有紀が舌を出すのを一瞬ためらった。
涼子はすかさず、日向が幼女を拷問するのに使った鞭で、有紀の背中を打った。
「うっ!!」
「あの男に殺された子達はもっと痛かったのよ!!」
さらに鞭をうならせる。
「さあ、言うとおりになさい!」
有紀は、舌先で、一本一本涼子の歯を舐め、歯垢を啜り取った。そして、舌同士をこすり合わせて、涼子の舌苔を取り除いた。
「よーくできたわね。じゃあ、パンストを、あなたの口で脱がせて」
有紀は泣きながら口でパンストの端をくわえようとして、涼子の腿に歯を立ててしまった。
「痛いじゃない!!」
鞭で滅多打ちにする。
「ごめんなさい!!・・・」
今度は丁寧にパンストを脱がし、パンティも脱がす。
「じゃあ、まず、足の指を掃除してもらうわ。五本いっぺんにくわえなさい」
有紀は必死で、大きく口を開けて全ての指をくわえる。
「ほら!ほら!ほら!」
涼子は乱暴に足を口の中に押し込む。
「う・・・うぐっ!!」
「苦しい?じゃあ、次は、大事なところを綺麗にしてもらうから、仰向きに寝なさい」
その通りにした有紀の口の上に、ヴァギナを押し付ける。
陰毛の下に、苦痛に歪んだ有紀の顔が見える。
「苦しそうね。でも、あの男に絞め殺された女の子たちはもっと苦しくて、窒息死したのよ」
「・・・っく!・・・ぐぐぐぅ!!」
有紀が激しく足をばたつかせる。
涼子は、彼女が失神する直前を見計らって、腰を上げる。そして体の向きを変えた。
「今度は、アナルを舐めてもらうわ。お尻の毛のところにウンチかすがたくさん付いてるから、きれいに舐めとるのよ」
「うっ!!」
有紀は、時間の経った大便かすのニオイに思わずうめき声を上げた。
「日向はね、女の子たちに自分のウンコを食べさせたのよ!!おいしいお母さんのご飯で育ってきた、何の罪も無い子供たちに!!あなたはそんな男を愛そうとしているのよ!!」
ぺろぺろぺろ・・・・・・有紀が舌を動かす。
「あっ・・・」
思わず、涼子は感じてしまう。
「さ・・・さあ、次は、また、もっと痛い思いしてもらうわよ・・・・・・」
涼子は、足の親指と人差し指で有紀の可憐な乳首を挟んでつねった。
「い・・・痛い!」
「あの男に殺された少女たちの体は、つねられた時にできた痣だらけだったそうよ!」
「痛い・・・ちぎれちゃうよ・・・!」
「うるさい子ね!舌を出しなさい!!早く!」
涼子は、有紀の舌を思いっきり噛むと鈍い音がして、歯が上下でぶつかり、血なまぐさい味がした。
うめき声を上げる有紀を蹴倒し、その可愛い顔を素足で踏みにじった。
有紀は、親友の足の下で、ただ涙を流してグッタリしている。
涼子は、その何一つ欠点の無い完璧な顔立ちに優しい表情を浮かべ、荒縄を解いた。
もし自分が男だったら、と心から思う。あんな変態ロリコンなんかに有紀の心を渡しはしないのに・・・・・・
有紀の顔を上げさせて、口の端ににじむ血を啜った。「ごめんね・・・」
有紀は首を振った。
涼子は透明な涙を流しながら、舌で有紀の全身を自分の唾液で一杯にした。
そして、有紀のきれいな女性器を見つめた。こんなに清浄な所をあの変態が犯したのだと思うと気が狂いそうだった。
「有紀、これは私のペニスよ」
普通の人より長い舌に力を入れて硬くして、彼女の秘所に挿入する。
「うっ!・・・あっ!!」有紀が吐息を漏らす。
涼子は心を込めて、舌を出し入れする。
「あっ・・・・・・っあ!!もっと強く・・・!」
口の周りが自分の唾液と有紀の愛液でべとべとになる。
「ハアハアハア・・・・・・・!!」
有紀の呼吸が荒くなる。
涼子は激しい攻撃を続ける。
「・・・・・・・っあああ!!!」
有紀は叫びながら、強く、太ももで涼子の頭を挟んだ。
涼子は口一杯に有紀の体液を満ち溢れさせ、余韻を楽しむように舐め続けた・・・
「涼子・・・気持ち良かった・・・・」
「私は、有紀の太もも締めでKO寸前だったわ!」
二人は大笑いして、再び舌と舌を絡めあった。
涼子の愛が、有紀を、日向の呪縛から救い出したのだった。
急に涼子が厳しい顔つきになった。
「有紀、大事なことを教えてあげる。日向の精神病は詐病だったの。担当弁護士を締め上げたら吐いたわ。息子の犯行に気付いた両親の相談を受けた弁護士が、半年がかりのプランを組んだそうよ。キチガイになり切る訓練をしたの。最後は本当に狂っちゃったみたいだけど・・・」
「じゃあ、女の子たちを嬲り殺した時は正常だったっていうこと?」
「まあ、正常じゃないだろうけど、病気ではなかったということよ」
「それなら無罪判決は?」
「明らかに誤審ね・・・裁判所がまんまと騙されたってわけ」
有紀の心は、怒りに打ち震えた。
「アタシ・・・あの男、許さない・・・・・・」
涼子は、有紀を心配してここまで来て良かったと、心底思った。
「そう。あの少女たちの恨みを晴らせるのは、あなたしかいないの。日向に、死ぬことより苦しい思いをさせなくてはならないわ」
有紀はうなづく。
日向が目を覚ますと、地下室に有紀の姿は無かった。頭がズキズキする。壁に備え付けてある非常灯を取って自分の体を照らした。胸と腹に大きな痣が出来ている。
彼は自分の置かれている状況を思い出した。
非常灯で床を照らすと、有紀のナイフがキラリと光った。
人が階段を下りてくる音が聞こえたので、とっさにナイフを拾い、非常灯を消し、息を殺して扉の横に潜んだ。
扉が開くと同時に、叫びながら相手に向かってナイフを振り回した。
「ウオーーーーーーーー!!」
髪の長い女が、外の光に照らされて闇の中に浮かび上がった。彼がメクラ滅法に突き出すナイフを軽くよけてしまう。初めて見る女だ。なんてデカイ女なんだ・・・そんなことを考えているうちにその手を女に蹴り上げられ、ナイフは天に向かって飛び上がる。シュッ!!シュッ!!という空気を切るような音と共に黒いペディキュアを塗った爪の並んだ足の甲が目の前を二往復すると顔の両側の骨がきしみ、メキャ!!という破壊音と同時に視界が足の裏で閉ざされる。頭部全体と首に衝撃が走り、全身の力が抜けて床に倒れこんだ。
仰向けに横たわる男の睾丸に、上から落ちてきたナイフが突き刺さった。
「ギェ~~~~~~~~~~ッ」
彼は失神してから一秒も経たないうちに覚醒した。
全裸の涼子が素早く、日向の顔の上に跨る。口も鼻も彼女の股間で塞がれている。
「ブブブ・・・苦し・・・」
涼子は睾丸から、ナイフを引き抜く。トロリと血があふれ出す。
「ブブブブーーーーッ!!」必死で身を捩じらせる。
「自業自得よ!!静かにしなさい!!」
ズブッ!!
涼子の拳が、日向の柔らかいソケイ部に完全にめり込む。
「ブンッ!・・・・・」
彼は、一言呻いて、意識が朦朧とする。
涼子が腰を動かすと、顔に女性器を擦り付けられた日向は反射的に勃起する。
彼女は、片手で男のペニスを、もう一方の手でナイフを握った。そして、亀頭の膨らんだ部分に刃を当て、果物の皮を剥くように薄く肉を抉った。
「ム・ム・ム・ム・ム・・・・!!!!!!」
彼は目玉を見開き、狂ったように足をバタつかせる。
「あと、三回いくよ!四人の女の子の恨みよ!!苦しみなさい!!」
彼女がペニスを傷つけている間中、彼はあまりの痛みと息苦しさからもがきまくったが、頭は股間に、両腕は逞しい両膝にしっかり押さえつけられていて動かせず、惨めったらしく足をジタバタすることしかできなかった。
彼女のナイフが四回転して彼が窒息と外傷性ショックで気を失った時には、ペニスに亀頭の「引っかかり」が無くなり、ただの細長い棒になっていた。
「凄い血ね。洗ってあげるわ」涼子は、血塗れのペニスの上に勢い良く放尿した。
それから有紀に命じてペニスの根元を針金で巻いて止血させ、用意してきた抗生物質の注射を打たせた。後二日は生きてもらわねばならないからだ。
ボギャ!!ボキボキボキッ!!!
「ピギャ~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」
昏睡状態だった日向は、背後から片腕を捻り上げられ一気に肩を脱臼させられて、意識を回復した。
「さあ、お寝んねしてる場合じゃないわよ。拷問の時間よ!!」
昨日の、髪が長く背の高い女が背後から正面に回りこんできて、美しい顔に冷やかな微笑を浮かべて言った。
「あたしの名前は涼子。今日から二日間は、あたしはあの子のサポートをするからよろしくね!」
涼子は、もはやただ彼の肩からぶら下がっているだけの腕の先に付いた手に、ボクシンググローブをはめた。
それから、自分も大きな赤いボクシンググローブを着け始めた。トップレスで、タイ文字の刺繍が施された美しいナイロンのパンツを履き、そこから伸びやかな、細いのに筋肉質な脚が真っ直ぐに伸びている姿が、地下室の薄暗い照明を浴びて浮かび上がっている。
日向は、半開きになった地下室の扉から射し込む白い日光に、小ずるい視線を走らせた。
素早く立ち上がり、希望の光に向かって、片腕をぶらぶらさせながら全力で駆け出した。
ドン!!
弾力のあるものにぶつかって尻餅をつく。見上げると、そこには有紀が立っていた。
背後から日光の後光を浴びて暗闇に浮かび上がる彼女の姿は、天使そのものだった。
しかし、あどけなさの残る顔に、怒りと憎しみが、この世のものとは思えない程の力強い美しさを与えている。その裸体には、性的に成熟し充実している女らしさと敏捷な筋肉が同居している。両手に黒いボクシンググローブを着け、赤い字で「KICKBOXING」と刺繍された、体にフィットした黒いサテンのタイツをはいている。
この天使はただの天使ではなかった。格闘の天使、閻魔大王に遣わされてきた天使なのだ。
しかし彼女の心が変化したことを知らない日向は、有紀の顔を見てホッとした。
「た、助けてくれ!!あの女に殺され・・・・ブッ!!」
有紀の素足の足裏が、彼の顔面にめり込む。
ゆっくり足を引くと、鼻の穴から血が噴出す。
「ブーッ!・・・な・・・なんで・・・!?」
「あれだけの事をしておいて、詐病を使って刑を逃れるような男を許すわけにはいかないわ!」
「目、目を覚ませよ!君と俺はあんなに愛し合・・・でッ!?」
有紀の爪先が彼の鳩尾に突き刺さる。
「あんな幼稚なセックスで、偉そうなこと言わないで!!」彼女は少し頬を赤らめながら、大声で叫ぶ。
「そ・・・そんな~~~~~~」彼は、有紀の余りの豹変ぶりを受け入れられず、頭の中が混乱する。
「お前はもう逃げられないよ!仕置きを受けて死なない限りはね!さあ、立ちなさい!!」
「い、いやだぁ~~~!!」
日向は泣き叫んで抵抗した。子供の時からこうやって、両親に自分の希望を押し通してきたのだった。だが、相手は甘い両親ではない。
有紀は、傷ついた睾丸を素足で踏みにじった。裂傷からあふれ出した血と共に、白い睾丸が露出しそうになる。
「ジジジェ~~~~~~~~~!!」
彼は叫んでから、必死で立ち上がった。
ババン!!!
有紀は大きく、澄み切った美しい瞳で相手を見据えながらボクシンググローブを打ち合わせて、残酷な音を響かせた。
日向はその音を聞いて、恐怖に打ち震え、脚が固まってしまう。そして、座り込もうとしたら、すかさず有紀の足が股間を蹴り上げる。
「ゲッ!!!」
「今日はウォーミングアップなんだから、立っていなさい!!立っていてもらうわよ!」
バシッバシッ!!ドコッボコッズカッ!バキッ!!
有紀の左右ストレートフックアッパーの猛烈な連打がヒットすると、彼の顔面は見る見るうちに赤い風船のように膨れ上がり、その数秒後紫色に変色する。
「プププププーーーーーーーーー!!!」
彼は泣きわめきたかったが、顎の関節が砕け、口中が腫上がった口腔の肉でいっぱいになったため、奇妙な音を発することしかできなかった。
次に有紀は、ゆっくりと低く構えて相手の首から腰まで全てにパンチを叩き込んだ。
白々としていたはずの彼の上半身から、白い部分は一切なくなった。ただ濃い紫と薄い紫の部分があるというだけだ。
日向は本能的に、動くほうの手で股間を押さえた。ガードしているつもりである。
有紀は渾身の力を込めて、相手のボクシンググローブの上に前蹴りを喰らわせた。
彼は直接的には自分のボクシンググローブで自分の股間を叩き潰して、体を九の字に曲げた体勢で後ろに吹っ飛んで行った。
涼子は口の周りをぺロリと舐め、前から飛んできた男の後頭部に上段回し蹴りを当てた。
空中を飛んで戻って来た日向の側頭部に、有紀は跳び回し蹴りを決める。
男は口から血反吐を振り撒きながら独楽のように回転して飛んで行く。
楽しげに微笑んだ涼子は、反対の側頭部に跳び後回し蹴りを打つ。
グキッ!!
彼の首は鈍い音を立てたが幸い(?)骨は折れなかった。
さっきとは逆回転しながら有紀の方へ飛んでいく。
「フフフ。有紀、サッカーごっこはやめましょう!!」
「そうね!」
バシュッ!!
有紀は、日向の顔面に上段横蹴りを入れることで彼の回転を停止させた。
「じゃあ、ちょっと力入れるよ!」
片足立ちの姿勢のまま逞しい力瘤を作って筋力の充実を確かめ、足を地に降ろすと同時に男の腹に正拳中段突きを打った。
ズン!!!!
「オグゥ!!!!!!」
黒い十オンスのボクシンググローブが、完全に日向の腹の中に埋没する。彼の体の中では、全ての腸がひしゃげ、潰れた。
ブリッブリリリリリ~~~~~~~~~~~ッ!!!
腸の全内容物が、大量の血液と共に、肛門を引き裂きながら飛び出した。
「臭いんだよ!!!」
ボクッ!!
有紀が叫びながら相手の胸に跳び膝蹴りをめり込ませると、男は胸骨を粉砕骨折し、大便を噴出させつつ、冷たいコンクリーの壁まで飛んで行き、壁に叩き付けられ、壁に沿ってゆっくりと崩れ落ちようとした。
「試合中にウンコのお漏らし?あきれた男ね!有紀!!今日のトドメを!!」
「OK!!」
バシィッ!!!ゴスッ!!!
有紀は彼の口元に上段後蹴りを決めた。
彼は彼女の足裏に、全ての歯を折られた上で、コンクリートの壁との間で頭部を挟まれた。
メリッ
壁に薄いヒビが走る。
日向は白目を剥き、両耳から血が溢れ出てきた。さらに、鼻や、足裏に押さえつけられた口からも血泡が次々漏れてきて、彼女の美しい足を汚した。
「汚い!!」
ドサッ・・・・・・
彼女が足を引っ込めると、男は固い地べたに沈んで痙攣した。
危篤状態に陥っている日向は、恐ろしい幻覚に襲われていた。
全裸にボクシンググローブのみを身につけた四人の若い美女に、容赦無く殴られたり蹴られたりするのだ。
彼を怯えさせるのはパンチやキックを受ける、幻覚とは気付き難いリアルな苦痛だけではない。その四人の美女は、彼が虐め殺した幼女達が成長した姿だったのである。
「ぱ、ぱひゅひぇへ(た、たすけて)~~~~~~~~~~~!!」
「お目覚めのようね」
腫上がった瞼の隙間から、有紀と涼子が自分の顔を覗き込んでいるのが見える。
「今日は大事な日だから、あなたにも体力付けてもらいたいんだけど、歯が無いから何にも食べられないわよね・・・どうしようかしら?」涼子が有紀の方を向いて困った顔をする。
有紀は、美しい瞳で日向の顔を見つめている。
「涼子、食べさせてあげて。あなた得意でしょう」
「わかったわ。おいしくはないけど、我慢してもらうしかないわね」
「いくよ!」
ズブッ!!
有紀は、彼の胃に、強烈な肘打ちを突き刺す。
「オウッ!!」
日向は、反射的に首を起こしながら両目を剥き、舌を突き出す。
吐きたいのだが胃の中が空で、大きく開けた口から出てきたのは苦悶の呻きだけだ。
ウエエエエッ!!
ドボドボドボ!
涼子は喉に指を入れることなく、慣れた様子で嘔吐し、その吐瀉物を彼の口に流し込んだ。
有紀の肘打ちで真空になった胃は日向の意に反して、涼子の吐瀉物を飲み込んだ。
ペッ!!
涼子は目に涙を溜め、口に残ったカスを男の顔に吐きつけた。
彼の口の中は強烈な臭気で一杯になったが、胃は動き出し、体には血がめぐりだした。
全裸の有紀は、黒いボクシンググローブを両手に着け、シャドウボクシングを始める。
「さあ、立ちなさい!!」涼子が美しい素足で男の顔を踏みつけながら厳しく命じる。
日向は倒れたままだ。
「じゃあ、ちょっと刺激を与えて、目を覚ましてもらおうかしら・・・・・・」
涼子は大きなバッグの中から、奇妙な物を二本取り出した。それは硬い針金でできていて、細い魚の骨のように、同じ向きを向いた矢印のような鋭利な棘が無数に並んで生えている。
「有紀、そいつを立たせなさい」
有紀は、形の良い足の親指と人差し指で彼の耳を挟んで、引きずり起こした。
「フフフフ・・・これは痛いわよ・・・・」涼子は完璧な顔立ちに、恐ろしく残酷な微笑を浮かべている。彼女は、有紀という自分の宝物を奪おうとした日向に対する嫉妬で、狂いかけていた。
「それで、何するの・・・?」
涼子は無言で、その棒を一本ずつ、彼の両鼻に差し込む。
「ま・・・まさか・・・!!」
有紀は、背筋が凍った。信じられない程美しい、まさに女神といえる涼子が、こんな残虐なことを考えるなんて・・・・・・
しかし、その清楚で神々しい容姿と残酷非道な精神とのギャップに思いを馳せると、心がウットリしてしまうのだった。
「クスッ。有紀のその表情、かわいいわ・・・・・・」
涼子は有紀の唇に自分の唇を押し付けた。
「あっ・・・・・・」
有紀は顔が火照り、日向を壁に押さえつけているために片足立ちになっているのでむき出しになった秘所がびしょ濡れになった。
そこから甘い香りが漂う。
「有紀、いいわね!!」
「ハイッ!!」
有紀は、二発ボディブローを決めて相手が前屈みの姿勢になった瞬間、顔面に激しいパンチを打った。
ボシャッッ!!!!!!
「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
形容し難い悲鳴が冷たい地下室に鳴り響いた。
しかしこの直後に、更なる苦しみが待っているのだ。
「ハ・・・ハアハアハアハアハア・・・ハアハア」
先ほどまで虫の息だった彼の呼吸は荒々しいものに変わった。
日向は全身を強ばらせ、壁を背にして立ち尽くしている。
涼子が、有紀の背後から日向の前へ歩み寄る。
元々醜い体がさらにグシャグシャになった日向と、微小な傷一つ無い、ビーナスも嫉妬するような、穢れ無き、奇跡的な肢体を持った涼子。神は同じ人間に、これ程の差別を与えたのである。
涼子は、男の鼻の穴から出ている針金を摘んで、ゆっくりと引き出した。
「イ・イ・イ・イ・イ・イヴェ~~~~~~~~~~ッ!!!!!!!!」
ジュビ!ビジュ!!!という音を立てながら、針金は抜けてくる。しかし、矢印型に生えた棘は、針金を簡単には抜けさせない。その鋭利な棘のために、涙腺を引きちぎり、鼻骨を傷つけ、鼻腔内の肉を抉るという抵抗をしながらやっと抜けるのである。
男の苦痛を倍加させるため、彼女はわざとゆっくりと、捻りを入れて引っ張るのだった。
極限の苦痛に、日向は失神することさえできない。
舌を、歯茎に残った歯根で噛み切って死ぬことを許さないよう、涼子は三日間はき続けたパンティとパンストを彼の口に詰め込んでから、もう一本にとりかかった。
今までに聞いたことのないような地獄の叫び。
二本目が抜けた時のことである。
日向の長髪が毛根ごと一斉に抜け落ち、彼は丸坊主になってしまった。
「アハハハハッ!!ツルッパゲになっちゃた!」有紀は輝くような笑顔で大笑いする。
「フフフフ・・・痛い?苦しい?」涼子は、熱病患者のように震えている日向に、神々しい顔を近づけてささやく。彼は彼女の口のニオイに包まれたが、もちろんそれを感じることはできない。
「死刑になった方が、ずうーっと楽だったね」有紀が、憐れむように言う。
涼子は、鞄からワイヤーを出してきて、天井の滑車に引っ掛けた。
日向は、この滑車を使って、首を傷つけた幼女を逆さづりにし、全身の血を抜く拷問を楽しんだものである。
涼子は、ワイヤーの先に丸い輪を作って金具で留めた。
次に、地下室に転がっている一升瓶を二本持ってきて、コンクリートの流しの中に叩きつけて粉々に割った。
「有紀、こっちに来て」
有紀のボクシンググローブにグリースを塗ったくり、そのグローブを瓶の破片に押し付けさせた。
そして、立ったまま硬直した日向を抱きかかえて滑車の下に運び、その首を輪に通した。
「あなたにチャンスをあげるわ・・・・・・」涼子が日向に声を掛けたが、彼の耳を素通りしたようだった。
「ちゃんと聞きなさい!!」
ザクッ!!!!!!
有紀が、大きく硬く発達した美しい足の親指を、男の片目に突き刺した。
ギェ~~~~~~~~~~~~ッ!!!
「もう一度だけ言うわ。あなたにチャンスをあげる。たった三分間立っていられたら、あなたを解放する。ちゃんと医者の治療を受けさせるわ。・・・・・・でも、立っていられなかったら・・・・・・残念だけど自動的に絞首刑を受けてもらうことになるわよ」
湯上りのようにさっぱりして涼やかな有紀や涼子と対照的に、血塗れの肉塊と化した日向は、心の中で葛藤していた。このまま膝を折って楽になった方がいいのではないか・・・・
その時、彼の頭の中に、「恐ろしい観念」が怒涛のごとく流れ込んできた。それは、言語や視覚的なイメージでは表すことのできない、「恐ろしい観念」とでも名付ける他ない感覚である。それが「地獄」から伝わって来ているということは、自然に理解できた。いわゆる針の山や血の池といった人間的な発想によるものではなく、とにかく苦痛や恐怖に満ちた「感覚」そのものが永遠に続くであろうことも予想された。
彼の絶望をあざ笑う、四人の美女たちの姿が浮かんだり消えたりする。
極限の袋小路に追い込まれた日向の脳は、最後の抵抗とばかりに、脳内ホルモンを一気に放出させた。
「オオオオオオーーーーーーーーーーーー!!!!!!」
彼の口から雄叫びがほとばしる。
「ファイト!!」涼子はタイマーのスイッチを入れる。
ガキィ!!!
有紀がボクシンググローブを打ち合わせると、ガラスの破片がぶつかり合って、残忍な音を立てる。
「思いっきりいくからね!!覚悟しろッ!!!!」
ズビャ!!!バシュッ!!!ボズッ!!!
「変態ッ!!!ロリコンッ!!!」
ド!ド!ド!ド!ド!ド!ド!ズバッ!!!
「真性包茎!!!!」
ザ・ザクッ!!!!!!!!
左右の棘付きボクシンググローブで挟み込むようにパンチされたペニスは、ボロ雑巾のように裂けた上で完全に潰される。
「ビィィィィィィィィィ~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!」
「まだまだッ!!!時間はタップリあるからね!白ブタッ!!!」
ゴンッ!!!バキッ!!!ズカッ!!!
「マザコンッ!!!あんたの両親も虐め殺してやるわ!!!」
ボボボボボボボボボボ!!ボンッ!!!!!
「パンチばっかりじゃ退屈でしょ!!!キックもいくわよ!!!」
パパパパパパァン!!シュッ!バシツッ!!シュッ!ドスッ!!
彼の体中に、有紀の足跡が刻まれる。
「あんたには、男を辞めてもらうわ!!!キチガイッ!!!」
グサッ!!!グサッ!!!ブシュ~~~~~~~ッ!!!!!
「アガ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ッ!!!!!!!!」
有紀のボクシンググローブが回転しながら股間を襲うと、睾丸の一方は裂き潰されて外に飛び出し、もう一方は裂けた陰嚢から白い筋でぶら下がる。
「キモいんだよッ!!!」
ボキッ!!ボキッ!!ボキッ!!ボキッ!!
左右の上段回し蹴り、上段内回し蹴りが日向の頭部の骨を左右から粉々に砕く。
朦朧とした日向の脳に、再び「恐ろしい観念」が激流のごとく流れ込んで来る。
・・・・・・・・・し・・・死にたく・・・・・・な・・い・・・
「有紀、あと三十秒よ!!」涼子が叫ぶ。
「わかったわ!!!」
・・・・もう・・・もう少しで・・・・助かる・・・・・
「あと三十秒ですって!!女の子の蹴りくらい耐えられるわよね!!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!
有紀は片足立ちの姿勢のまま、彼の全身に、目にも止まらぬ速さで横蹴りを連打する。
美しい裸の大きな胸が、男に打撃を与える度に、激しく揺れる。
彼の内臓は全て破裂する。全ての肋骨も折れて、肺に突き刺さったり、筋肉や皮膚を突き破って体表に露出する。
「キモオタッ!!!バイキン!!!」
バリッ!!!
既に男性機能を失った股間に有紀の金蹴りが炸裂して股関節が割れたが、彼は奇跡的に持ちこたえる。
・・・生きたい・・・もし死んだら・・・・この百倍の痛み苦しみが本当の意味で「永遠」に続く・・・・・・死にたくない・・・生きたい・・・生きたい・・・
日向がこれ程までに何かを願ったのは、彼の人生において最初で最後のことだった。
「有紀ッ!!あと十五秒よ!!」
・・・もう少しだ・・・・それで・・・死なずに・・・・・・・
「トドメいくよッ!!!」
有紀が高くジャンプして、その綺麗な顔が一瞬見えなくなった瞬間、彼女の足裏が目前を吹き抜ける。
跳び後ろ回し蹴りだ。
打撃が彼の頭部にヒットする時、有紀のしなやかな全裸体から輝く汗が飛び散る。
日向は激しく回転して、彼女に背後を見せて止まった。
「十!九!八!七!」
し・・・・死にたく・・・・・・・・・・・!!
「さようなら・・・」
ボキッ!!!!!!!!!!
有紀の渾身の飛び膝蹴りが日向の脊椎を断った。
全身に最大級の激痛が走ると同時に下半身の神経が麻痺して膝が折れ、彼は、首にかかったワイヤーにぶら下がった。
コキッ
頚椎が音を立てて折れる。
「四、三、二、一!」
モクモクモクモク・・・・・・・・
白目を剥き、口からはだらしなく舌が垂れ、肛門からは腸が流れ出した。
涼子は、日向の頚動脈を触って、血流が停止していることを確かめた。
「有紀!!完全KOよ!!!時間一杯いたぶり続けたあなたのテクニック、見事だったわ!!!!!」
「やったー!!!涼子!!ありがとう!!!」
有紀は、ひまわりのように明るい笑顔で叫び、ボクシンググローブを着けた両手を高々と上げて、飛び上がって喜んだ。
「有紀、殺された女の子たちも、あなたに、心から感謝していると思うわ!!」
「涼子のおかげよ!!涼子が来てくれてなかったらあたし、どうなっていたか!」
日向の魂は、四人の復讐の女神たちによって地獄に引き立てられて行った。現世では二人の美女によって嬲り殺され、彼岸では「永遠に」四人の美女によって拷問を受ける・・・
幸せなことかもしれない。もし、彼がマゾヒストであったとすれば。
その裸体が、興奮によって輝きを増した有紀と涼子は、固く抱き合い、舌を絡め合った。この世に存在する最大の苦痛を味わい尽して息絶えた、無残で醜い屍骸の前で。
生命力に満ち溢れ、愛を確かめ合う二人と対照的に、罪人の体は早くも腐敗を始めていた。
完
UUさん主宰のサイト『DOMINANT LADY』に投稿
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